先日、勤務先のフランス人に「どうしてあなた(日本人)は感情を出さないの?」と聞かれました。職場で私が怒った姿を見たことがないから疑問に思ったそうです。
もちろん、ストレスが多い勤務先で怒りたくなるときもあります。でもあえて感情として出しません。自分の感情を上手くコントロールし、ネガティブな感情を人前に出さない様にしています。
フランス人を見ていると、彼等はそういう面で損をしているなとよく思います。感情をコントロールすることが出来ず、感情丸出しで自分のやり方だけが正しいと一方的に主張するところです。残念なことに、そういう態度は相手を逆にもっと怒らせるだけで、問題が解決するどころか、物事を余計複雑に発展させます。 フランス人の喜怒哀楽が激しい感情丸出しの性格は、フランス映画の中ではカッコイイのですが、実生活では相手はたまったものじゃありません。
怒りたくなる時は、気持ちを静め、逆に余裕の笑顔で仕事をするようにしています。その方が仕事も人間関係も上手くいくというものだと思ってます。フランス生活が長くなってきましたが(既に10年)、自分は日本人でよかったなと思います。
もともと自然なハーブ療法が好きなのですが、自然の有効成分が凝縮された精油を使ってのアロマテラピーもとても興味があります。現在様々な香りの精油を試していますが、中でもベルガモットは最も気になる香りのひとつです。
ベルガモットはレモンとオレンジを合体させたような柑橘系の果物なんですが、その香りは柑橘系というよりは、紅茶の様な・・?リプトンティーを開封したばかりの香りがする、と思っていたら、それもその筈なんです。アールグレイはこのベルガモットで香り付けされていたんですね。なるほど、ベルガモットは紅茶好きにはたまらなく癒される香りです。このベルガモットのアロマオイル一滴で私は一日中、紅茶の香りに包まれ、ストレスから開放され幸せな気分になれます。ある意味、自然の抗うつ剤ですね。
ところで、食用には向かないと言われているベルガモットの果物ですが、フランスではごく普通に食用として売られています。私が以前購入したベルガモットはモロッコ産で、見かけはオレンジに近いのですが、オレンジよりは皮が柔らかったです。見た目だけで言えば、ちょうど、お正月に鏡餅と一緒に飾られる日本のダイダイ(橙)とそっくりでしょうか。味は苦くて生食するには向かないのですが、その柔らかく、フレッシュで甘い香りの皮はマーマレードやジャム、パンやタルト等・・様々なお菓子のレシピに使われています。
ベルガモットの精油はリラックス効果だけでなく、肌の炎症を抑える作用や、殺菌、消毒作用もあると言われているので、オイリー肌用のスキンケア化粧品作りに良いかも知れないですね。ベルガモットの精油を加えた手作りせっけんや手作りローション、いつか時間があれば是非チャレンジしてみたいと思います。
住むなら都会?それとも田舎?フランスも日本同様、理想の住居を見つけるのはそう簡単ではありません。都会の騒々しさとストレスから離れ、自然に囲まれた環境で暮らしたい・・という理由からずっと田舎暮らしをしていますが、これがなかなか大変です。都会暮らしとはまた違ったストレスがあります。
先ず、何処へ行くにも遠いこと。買い物をするのに毎回車を出さないといけません。電車やバスも一応存在しますが、1~2時間に1本、週末には朝と夕方の2本だけなんていうこともあり、とにかく自家用車がなくては何も出来ません。毎日頻繁に車を運転しているので、ガソリン代が高騰している今の時代には経済的に厳しいです。そして通勤に往復100kmもかけています(田舎には仕事が無い為)。排気量の多い車で高速走行しても片道1時間以上します。仕事を終えて帰宅するには自宅は遠く、運転も辛いです。フランスの田舎は交通の便が悪すぎます。
それに田舎は人間が保守的で閉鎖的です。アルジェリア戦争を経験した年配の方々はアラブ系に対しての差別意識が未だ残っています。フランスに居るアジア系は単純に全て「中国人又はベトナム人」と思い込んでいる方々も多い。日本人はパリでブランド買い占める観光客、くらいのイメージしかない。黒人というだけで警察に車を止められる。田舎で暮らすのは偏見との戦いでもあります。
それでも、田舎で暮らす利点もあります。都会では到底買えない庭付の大きなマイホームが、都会のワンルームの値段で買えてしまう。美味しい空気と緑豊かな自然。聞こえてくるのは小鳥やふくろうのさえずり。時間がゆっくり流れながら、騒がしくなく静かに過ごせる。仕事の接客で疲れて帰宅し、誰にも邪魔されず静かに過ごせるというのは有難く思います。
田舎の人間に対して厳しく書いてしまいましたが、中にはとても人情が厚く優しい人達もいます。都会では子供の保育園が見つからない、保育料が高いという話も聞きますが、田舎の保育園には必ず空きがあり料金も安くなっています。乗馬やカヌー等のアウトドアスポーツも普通に楽しめるのは魅力的です。
都会と田舎、住みやすいのはどちらなんでしょうね・・?
フランスの幼稚園の子供達、1890~1900年頃といわれる写真と1世紀以上経った現在の幼稚園の子供たちの写真を比べてみました。
当時は、幼稚園からでも男女別々に分けていたのですね。ワンピースを着させられたお行儀良さそうな当時の女の子達と比べ、今の女の子達はスニーカーにズボン、やんちゃな男の子と一緒に遊び学びます。男の子相手にケンカだってします。現在の幼稚園の先生といえば比較的優しそうですが、この時代の先生はなんだかとても厳格に見えます。
こうやって昔と今の写真を比べるとはっきりするのですが、現在の子供達は昔と比べて大きくなっています。栄養状態が良くなったのでしょうか。下は4歳の娘のmoyenne section(年中組)の写真なんですが、4~5歳の学級とはいえ、6歳に見える体格の大きい男の子や女の子もいます。
こうやって昔と今の写真を比べるのはおもしろいですね。
写真一枚からその背景の歴史や状況が伝わってくるからです。
フランスの昔と今・・また別の機会に写真を比べてご紹介してみたいと思います。
古いものには古いものの良さ、懐かしさ、温かさがありますよね。私はそういった古いものをインテリアとしてとりいれることが大好きです。ありがたいことに、フランスには100年、また200年~といった昔の古いものが多く現存しており、アンティークであるにもかかわらず、値段も決して高くありません。
極端にいえば、市場で大量生産されている家具よりも、職人によってひとつひとつ作られた古い家具の方が安い、ということがフランスではあります。
画像のアルザス地方の椅子(19世紀作)は、先日買い物帰りに骨董屋で40€(約5000円)で購入したものです。この田舎周辺で最も安いと言われる骨董屋のおじさんと交渉して、10€安く値引きしてもらいました。フランスでは、アンティークは、お金持ちのものだけでではありません。節約に追われる私のような一般家庭にも十分手の届く値段です。大量生産されている高価な新しいデザイン家具より、私はこういった古く温か味のある椅子の方が好きです。
アルザス地方、コルマールで1880年頃に作られたというこの椅子はハートの形とそのちょっと変わったデザイン、アルザス地方独特の、釘を一切使わずに組まれ固定されているところが特徴です。日本でも古来の木造建築や宮大工の方の技術で、釘を一本も使ない木組の接合方法がありますよね・・どう呼ばれるのかちょっと思い出せないのですが。
この椅子には1774と彫られていますが、それは1880年代の職人が1770年代のもの・・として売ろうとしたからだそうです。外側に向かって足が固定されているので、現在の足がまっすぐ伸びている椅子より倒れにくい設計になっています。かなり頑丈でしっかりした作りです。
アルザス地方の伝統的なお家や古いレストランを訪れると、これとよく似た椅子によく出会います。現在でもこの椅子のデザインを復興させてアルザスで職人により作り続けられていますが、お値段はとても高いと聞いています。アルザスを旅する機会がおありでしたら、是非、骨董屋でアルザスのアンティーク椅子(chaise alsacienne ancienne)をお探しになってみては如何でしょうか。
お金持ちでなくても、古き良き時代の素晴らしいものと暮らせる。フランスで暮らす魅力のひとつかもしれません。