お店の紙袋やお菓子の空き箱、古い洋服、壊れそうな古い電化製品・・捨てますか? 捨てませんか? フランスでは、圧倒的に「捨てない」人が多いと思います。日本では部屋を整理させる為に、必要の無い物は捨て、処分していく事が良いと認識されている様に思います。ところが、フランス人は物を捨てることを嫌がります。彼等は「捨てる」ということに抵抗があります。
フランス人はケチなんでしょうか? 私は彼等には「物を大事にする」という精神があるから捨てないんだと思うのです。多くのフランス人はとにかくなんでも壊れるまで使います。壊れても修理してまた使います。
例えば、飛行距離が10万km超の車であれば、日本では、そんな中古車は手放して、新しい車に乗り換えようという話になると思います。フランスでは、車にどんな故障がでようと、メンテ費用がかかろうと、バッテリーやモーターを買い換えながら、なんとか20万~30万kmまで乗る、乗ろうとするフランス人が未だに多いのです。
フランスの田舎のおばあちゃんの家を訪れると、20~30年前のテレビや洗濯機、掃除機等があったりします。食器やテーブル、椅子になると、50年や100年になる物もあったりします。フランスの一般家庭に50~100年ものの食器や家具が普通にあるのは、単純に地震や災害の機会が少ないから、ということもありますが、最も大きな理由は「古い物ほど良い、素晴らしい」と考えているからでしょう。テレビや掃除機も、故障を直しては使い、直しては使い・・いつの間にか20年経っていたという感覚です。
古い物を大切にする。これは、古いものが新しいものより美しい、素晴らしい・・と思われているからこそ存在する考え方です。そしてその「捨てない」考え方は、ゴミが減り、私達の暮らす環境にも良い筈です。
古いものは捨て、新しいものが良いとする日本。
新しいものより、古いものが良いとするフランス。
それでも、どうしても古いものを手放したくなる時があります。そういう時でさえも、フランス人は捨てません。 まだまだ使える物を捨てるのはやっぱり心が痛むのです。 そこで彼等は、自分の要らない物を誰かが使ってくれたら・・と思い、
蚤の市や個人アノンスで売ったり
リサイクルショップに出したり
知人や他人に譲ったり
寄付したり
と、なるべく物を捨てない方法を考えます。そこまでしても貰い手が見つからない場合は最後にはゴミとして出されます・・・・が、粗大ゴミ処理場でさえも、捨てる筈だった家具の引き出しの一部や車のバッテリーを見つけ「これ下さい」と貰っていく人がいます。
古い物は、もしかすると新しい物よりもずっと魅力的です。そういえば、私の田舎の実家(日本)には、30年以上も昔からあるナショナル(現在のパナソニック)の扇風機があります。夏にしか使われないものの、30年経った今でも全く一度も壊れず愛用されてます。そして、その昭和レトロなデザインが現在では新鮮で、なんだかとても可愛らしい。
どうせ長く使うなら、安い物を買って捨てる、のではなく、高くても良い物を買って、長く愛用し続ける・・という考え方が私は好きです。
フランスの田舎の家を、是非一度ご覧になってみませんか?
「捨てない」フランス人が住む街はとても美しく、古き良きものに沢山巡り合えることでしょう。