パリ・ロワシー空港が勤務地ということから、世界中からの様々な人々と毎日接しています。そして様々な国の人を観察しているうちに、あるひとつのことに気付きました。それは、ある国の女性の肌の美しさです。
そのある国というのはサウジアラビアの女性。彼女達は頭の先から足の先まで、アバヤと呼ばれる黒いベールで全身を覆われています。職業柄、そのベールの下に隠れた素肌を拝見することがあるのですが、彼女達の陶器の様な美しい肌には本当に驚かされます。それも、10~20代の女性だけでなく、40を過ぎたと思われる女性でも色白で、きめこまやかで美しい肌をしている方が多い。
サウジアラビアといえば、年間気温は平均して30度、夏に至っては40度は当たり前という灼熱の地。全身はベールで包まれることによって、恐らくその様な過酷な気候と紫外線から守られているのでしょう。 海に入る時でさえもベールで全身を包み、彼女達が公に肌を見せることは無いと聞きます。
ベールによってこそ彼女達の美肌があるのかもしれません。ですが、別に私は彼女達のあの黒いベールを肯定するつもりはありません。否定をするつもりもありません。その国の文化ですから…。 日本でさえも、その昔は女性は毎日着物を着て、現在の様に肌を露出して歩くなんてことは考えられなかった時代もあった筈です。その国の文化を私は否定するつもりはありません。
女性の人権が軽視されているとの声がありますが、確かに欧米の視点から見るとその通りだと思います。 サウジ女性が仕事に就くことは許されない。男性と同様の権利は無い(女性からは離婚を言い出す権利が無い等)。ただ、だからといって彼女達が必ずしも不幸ということでは無いと思います。私の目には、小さな女の子をあやして遊んでいるお父さんとお母さんがいる、ごく普通の幸せそうな一家が多い。離婚でもめて家族バラバラになってゆく欧米よりも、もしろ家族を大事にする家庭が多い様に感じる時がある。
女性に対する差別意識が無くなり、彼女達が黒いベールを脱いでその美しさで世界中を魅了する日が来ることを願っています。