古いものには古いものの良さ、懐かしさ、温かさがありますよね。私はそういった古いものをインテリアとしてとりいれることが大好きです。ありがたいことに、フランスには100年、また200年~といった昔の古いものが多く現存しており、アンティークであるにもかかわらず、値段も決して高くありません。
極端にいえば、市場で大量生産されている家具よりも、職人によってひとつひとつ作られた古い家具の方が安い、ということがフランスではあります。
画像のアルザス地方の椅子(19世紀作)は、先日買い物帰りに骨董屋で40€(約5000円)で購入したものです。この田舎周辺で最も安いと言われる骨董屋のおじさんと交渉して、10€安く値引きしてもらいました。フランスでは、アンティークは、お金持ちのものだけでではありません。節約に追われる私のような一般家庭にも十分手の届く値段です。大量生産されている高価な新しいデザイン家具より、私はこういった古く温か味のある椅子の方が好きです。
アルザス地方、コルマールで1880年頃に作られたというこの椅子はハートの形とそのちょっと変わったデザイン、アルザス地方独特の、釘を一切使わずに組まれ固定されているところが特徴です。日本でも古来の木造建築や宮大工の方の技術で、釘を一本も使ない木組の接合方法がありますよね・・どう呼ばれるのかちょっと思い出せないのですが。
この椅子には1774と彫られていますが、それは1880年代の職人が1770年代のもの・・として売ろうとしたからだそうです。外側に向かって足が固定されているので、現在の足がまっすぐ伸びている椅子より倒れにくい設計になっています。かなり頑丈でしっかりした作りです。
アルザス地方の伝統的なお家や古いレストランを訪れると、これとよく似た椅子によく出会います。現在でもこの椅子のデザインを復興させてアルザスで職人により作り続けられていますが、お値段はとても高いと聞いています。アルザスを旅する機会がおありでしたら、是非、骨董屋でアルザスのアンティーク椅子(chaise alsacienne ancienne)をお探しになってみては如何でしょうか。
お金持ちでなくても、古き良き時代の素晴らしいものと暮らせる。フランスで暮らす魅力のひとつかもしれません。